(介護に至るまで 日誌⑥)強引
帰る日が来た
朝一で市役所へ行く
前日の調査員の問題を説明すると
近くの介護施設の連絡先を教えてくれた
相談してみてください、と
部屋へ戻り電話をかけると
翌日夕方見に来てくれると言うが私が帰った後だ
明日来てくれるから指示に従って、と母に伝える
忘れるかもしれない
念のため紙にも書いた
その晩、母が銀行通帳を見て
暗証番号を覚えていないと言った
何かあったらお金が引き出せない
翌日急いで銀行を回り代理人申請をした
後日書類が届くことを、母に伝える
これも紙に記した
別れの時間が近づく
大家さんに連絡したがやはり部屋を交換するのは無理だった
下の親切な人に電すると自分の母も年が若くないからと言われた
皆同じ問題を抱えていく
必要なことは紙に殴り書きして
また来るねと別れた
総武線に乗り、銀座線に乗り主人との待ち合わせ場所へ
楽しみにしていたライブへ
だめだ
全然ステージが見えない
心配で心配で涙が溢れて目の前が見えない
一緒に連れて帰ろう、と主人
ホテルから電話をする
寒い北海道が嫌いな彼女
なかなか行く、と言ってくれない
3泊の小旅行に行こうと説得へ
10分くらい話しただろうか
やっと、分かった、と言ってくれた
必死だった
安堵した
うれしかった
部屋へ行きスーツケースに下着を詰め込み
リムジンバスに乗り込み羽田へ
北海道の自宅に着いたのはいつも通り夜だった
みき